no.1 2007.5.1
ご挨拶

輸入食品衛生管理者の皆様あての一つの情報ソースになれればと考え、最近の出来事や、小耳にはさんだ業界ニュースについてお知らせするコーナーを設置しました。できるだけ公にも業界側にも偏らないようなコメントに心がけ、2カ月程度をめどに内容刷新できればと考えておりますが、共有化したいニュース等がございましたら、管理者の皆様側からもご連絡いただければ幸いです。

最近のできごとによせて

平成19年度計画の「輸入食品監視指導計画」が公表されています。

この監視計画のもととなった「昨年の監視結果」を見ますと、(中間報告データ「平成18年4月〜9月」ですが)輸入届出件数92万件、検査件数9万5千件のうち「違反件数は629件(検査件数中の0.662%、全体の0.068%)」であり、検査件数中の違反率では約0.17ポイント、全体の違反率では約0.02ポイントの増加の傾向です。予想通り「残留農薬・動物医薬品・飼料添加物」による違反が増加(4倍〜?)していますが、特徴としては、水産食品からの抗生物質・抗菌剤の検出増加、カカオ豆からの残留農薬検出増加をはじめとして、コーヒー豆・カカオ豆・チリパウダー・ナツメグのアフラトキシン。ビーフン等加工食品および米から未審査GMO検出の増加があげられます。

平成19年度の監視指導計画では、この傾向をふまえて「その他の食品と飲料のカビ毒検査(パツリンを含む)の倍加、農産加工品のGMO検査の強化(1.7倍)」がなされており、昨年の結果による対応と言えます。ただし、畜産加工食品の成分規格検査(1.4倍)、農産加工食品の成分規格検査(1.1倍)の強化については、O−157やO−26の検出が見られたからとの情報もありますがさだかではありません。

もうひとつ昨年度の特徴でもある「モニタリングからモニタリング強化へ、さらに検査命令へ移行」してしまった商品が非常に多かったことについてですが、ちょっと酷な様にも思えますが、「輸入者が管理指導不足のまま輸入するから違反が多発するんだ」と言われれば、その通りなのですから、我々としては、日常的に発生する違反に注意をはらう意識を高めなければなりません。他社での違反についても、人ごとと思わず、自社品も同様でないかを迅速に現地調査・指導する体制に変革する必要があります。@日常的に輸入時違反の実例をチェックする。Aモニタリング強化(今年から30%になっています)に移行した瞬間に緊急改善案件とし、以降は一件も違反を出さないよう「生産国で検査してから輸出する」等の自主管理・自主規制をするべき時代になって来たと言うことでしょう。

たとえばエビでの抗生物質の違反を見ても、日本では「ベトナム産」ばかりが問題視されていますが、EUの監視実績を見ると「インド産」に警告が多く、米国では「バングラデシュ産」での違反などが報告されています。産地が異なるから、取引先がちがうからと安易な安心は禁物です。さらにもう一歩つっこんで、「この件が改善されたら、次は何に気をつけるべきか」についても考えておくこともまた重要です。たとえば、なぜエビにクロラムフェニコールを使うのかの答えは「氷が高価だから」であり、劣化防止のために、過去には「ホウ酸」が使われ、今はクロラムフェニコールが使われているのだと言うことを知ることが重要です。クロラムフェニコールが禁止されたら、次は何を使うかについて、現地の漁師やブローカーから生の情報を集め、違反が判明される前に対処しておくことが最大の防御となりますので、どなたか小耳にはさまれましたら、お教えいただければ幸いです。





(C) 2009 Association for the Safety of Imported Food, Japan