no.16 2010.3.9

米国ベーシックフレーバーズ社製HVPによる大規模なリコールについて

2010年3月4日、FDAは、ネバダ州ラスベガスのベーシックフーズフレーバーズ社製造のHVPについて「サルモネラ(テネシー)に汚染されている」として回収を命じている。

該当製品は「Basic Food Flavors Inc in Las Vegas社製のHVPペーストと粉末」であり、2009年9月17日以降の製品すべてとされています。

このHVPを使用してしまった加工食品等についても、各社から自主回収が発表されており、3月9日現在29社、94品目に拡大しており、どこまで対象製品がひろがるのか予測がつかない状況です。
HVP(Hydrolyzed Vegetable Protein)は非常に便利な調味料であり、スープ、ソース、チリー、シチュー、ホットドッグ、グレービー、味付けしたスナック、ディップ、ドレッシング等、非常に広範囲な食品に及ぶため、「HVPを含む製品のリコールリスト」を公表しており、消費者ならびに食品製造事業者に注意を呼びかけていますので、以下のアドレスを参照してください。


http://www.fda.gov/Safety/Recalls/MajorProductRecalls/HVP/default.htm

自社にて、ベーシックフーズフレーバーズ社のHVPを使用していないか、あるいは、自社が輸入している食品が、上記の「HVPを含む製品のリコールリスト」に掲載されていないかの調査確認をしてください。

サルモネラ属菌は60℃ 20分間で死滅するとされているのに、製造時の加熱工程で死滅させられなかったのか、ソース等、塩分・糖分が高いのに生き残っているのか、あるいは、調理加工で加熱すれば安全なのではないか等疑問が残り、微量使用の加工品までリコールする必要性はないのではないかとも考えますが、上記のアドレスを開けたページの下部に「For industry」のコラムがありますので、興味のある方は参考にお読みください。

HVPはサルモネラ汚染しやすい食品(野菜、穀類)を原料としたものではありますが、弱酸~弱アルカリ環境で加水分解した製品ですので、原料由来とは考えられず、工程内汚染(容器・器具・環境)あるいは、健康保菌者(健康な大人には感染しても症状が出ない)からの、充填~計量~包装の工程での汚染等の可能性が考えられます。

粉末製品や高粘度の製品を製造する工場などにありがちな問題ですが、水洗浄・殺菌がし難いからと言って、タンクやパイプ内に貯留させたままで作業を終了し、翌日は貯留分を廃棄して製造を開始するといった工程には、やはり何処か危険が潜んでいるような気がします。

この様な工場を点検・監査する場合には、
「作業開始時の貯留分廃棄の分量が定められているか」。
「洗浄殺菌をしなくても大丈夫であると言う検証がされているのか」。
「その結果の確認がされているのか」 等が
大切な管理ポイントではないかと考えますので参考にしてください。





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