no.2 2007.7.11
中国製品の話題に思うこと

中国製品の安全性に関する話題が多く取り上げられ、中国製品すべてについての安全性を疑う事態に発展してしまい、当局も事の重大性を認め、信頼性回復に努力している姿勢が見られます。小麦粉を「グルテン」と詐称し、窒素量補填にメラミンを添加したり、ジエチレングリコールをグリセリンと詐称したりする等の行為は、その結果を考えれば人の道からはずれるものと考えますが、だからといって「中国製品はすべてあぶない」と決め付けるのは早計なような気がします。

筆者(檜山)の経験で恐縮ですが、ガラス片の入った製品に苦情を言ったところ、のぞけば食べられるだろう、といった反応を見せたのは、中国ばかりでなく、欧米にもありましたし、キャップからの漏れ、ラベルの曲がり、添加物のコンタミ、品質のバラツキ等々、不良品である事を認めてもらえず、事後処理に泣かされた過去の失敗は、「けっして中国が一番多いわけでない」という感じをもっています。

では、最近の事故の多さの原因は何なのか、ということですが、メラミン等の故意の事例は除くとして、「購入したい製品の要求品質を、充分に説明・依頼していないこと」が原因ではないでしょうか。歴史も、教育内容も、法律も異なる国の人に「要望する品質を説明する」には第一に、日本人の常識で考える品質と、現地の人の常識としての品質とは、大きくかけはなれているのだということを考えに入れなければなりません。 日本人向けの商品であることを説明し、こういうものは不良なのだという事を、細かく現場に伝達しておくことを忘れていては事故防止にはなり得ません。

ここ数年の輸入実績を見ても、重量の伸びよりも件数の伸びが膨大であることからも、一件あたりにかけられる手間も減少しているでしょうし、現場からは「そうそう出張ばかり出来ないよ」と言う声も聞こえて来そうですが、やはり、委託工場については(原材料の産地も含めて)ひんぱんに訪問し、調査・説明・確認・依頼することこそ、一番大切な仕事ではないでしょうか。訪問のたびにあらたな発見と信頼性の向上につながります。

仲間内でも時々同じ話が出ますが、たくさんの工場を訪問していると、はじめて訪問する工場であっても、入った瞬間に何か「感じる」ことがあります、それは、漠然とした「感じ・・におい・・雰囲気」のようなもので、ここは何か危ないぞとか、ここならうまくいきそうだとか、さまざまですが、商談がうまく進まないような場合には、その第六感を信じることにしています。

これは、工場を点検監査する最も基本的な項目である@「きまりはあるのか」、A「そのきまりは伝達されているか」、B「守られているか」、C「記録されているか」が、きちんと回っているかどうかは、工場の保守状況や従業員の態度、質問への返答等々のどこかに現れる、ということでしょうか。きまりもないのに指示している工場、指示ばかりで点検がない工場、などは、安定した品質を期待できる筈がなく、決して委託すべきではありませんが、中国ばかりではなく、国内にも、こういう工場が少なくはないのもまた事実です。

こういった場合、現状では取引できない旨を伝えるだけでは、相互の発展も進歩も望めませんので、望ましい品質管理手法・手順を充分に説明し、どこまで出来たら購入を再検討するという事を示し、時間をかけてレベルアップを指導する事も忘れてはならない使命であると考えます。

日本のマーケットにある優秀な商品を参考に持参し、バラツキのなさ、包装のきれいさ、正確さ等も品質の一部である事を理解させるのは大変ですが、あきらめずに努力していただきたいと考えます。




(C) 2009 Association for the Safety of Imported Food, Japan