no.21
2011.3.4

乳及び乳製品への「皮革水解蛋白」の使用問題について

2月24日、中国国家質量監督検験検疫総局は、市販食品の乳及び乳製品について皮革水解蛋白が違法使用されていないかの検査を強化すると発表しました。
http://www.aqsiq.gov.cn/zjxw/zjxw/zjftpxw/201102/t20110218_177695.htm

これは中国農業部が、メラミン入り粉ミルク事件への対応として強化していた「牛乳・乳製品の市販品の検査」を、本年度も強化実施すると発表した内容中に「メラミンを禁止された悪質業者が、革の加水分解蛋白質を使用している」という文書があった事がきっかけとなっている様です。

取り締まりが必要な程流通している事自体が驚きですが、話題の「皮革奶(皮革水解蛋白を添加した牛乳のこと)」は、中国衛生局から数度発表されている「乱用され易い非食用物質(添加物)のリスト」中に掲載されており、従来から蛋白増量を目的に食品に使用される事が知られていましたが、食品添加物(調味料)として認められている「たんぱく加水分解物、HAP(hydrolyzed Animal Protein)等」との違いが区別出来ず、分析も困難ですので、どの様に検査するのか知りたいものです。

我が国の法規では、粉乳等には一部のリン酸塩程度しか使用出来ず、たんぱく加水分解物は使用禁止ですので(乳、加工乳、クリーム、濃縮乳等は添加物はいっさい使用出来ない)添加されたものを原料として使用する事はできません。

「たんぱく加水分解物」とは、日本であれば、牛・豚・鶏又は魚介の食用残渣(すじ等)を塩酸等で酸性にし、加熱分解した後に水酸化ナトリウム等で中和したものですから、有害物質の心配はありませんが、中国の情報を見ると“皮革”と言う表現になっており(中国語では、皮は、毛がついたままの獣皮、革は、なめした獣皮を指す)食用以外の皮革まで原材料に使用された分解物ではないかと考えます。

革のなめしには、タンニン以外にクロムやアルミニウム、チタン、ジルコニウム、ホルムアルデヒド等が使用されますし、塩基性硫酸クロムは、加熱により6価クロムに酸化しますので、絶対に食品に混入させてはならない物質です。

食品衛生法の第6条には「腐敗、変敗、未熟、有毒、有害、病原微生物に汚染されたもの、不潔、異物の混入したもの、及びその疑いのあるものその他の事由により人の健康を損なうおそれがあるもの(ただし、一般に人の健康を損なう恐れが無く、飲食に適すると認められているものを除く)」は、販売し又は販売の用に供するために採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならないとされています。

もちろん中国の乳製品であっても大部分は良好な品質のものでしょうが、中国にて、乳ならびに乳加工品又はそれらを原材料として使用した食品を取扱っておられる方は、製造企業に対し、上記の情報と危険性を伝達し、契約時の仕様項目に追加すると共に、日本産原料との比較分析(クロムの定量)等の手配をお勧めします。




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