no.23
2011.8.16

基本に帰って原材料や添加物の点検を強化しましょう

この数ヶ月、輸入食品に関する特別な注目情報もなく、強いてお伝えすべきものもありませんでしたのでコラムの更新をさぼっておりましたが、最近の国内外の違反事例を見ておりますと、目新しい注目情報よりもむしろ「常識的な内容による違反」が散見されるように感じます。
改めて「原材料や添加物の点検」の重要性について注意喚起させていただきたいと考えます。

①輸入の自粛を要請されている食品を輸入しようとして苦労している例が見られます。

体に良いと信じられていた食べ物でも、有害性が認められ「輸入を禁止あるいは自粛等」を指導されているものがあります。アマメシバやアガリクスを含め15もの食品が下記のサイトに掲載されていますので、常識として記憶に留めましょう。 

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/anzenkakuho-1.html


②有毒・有害な食品(加工が不十分だと危険なもの、変質すると危険なもの等)と判断されて違反とされる例が多発しています。

キャッサバ芋をそのまま輸入しようとしたり、不十分な加工のタピオカやビターアーモンド、杏仁粉(いずれも青酸配糖体を含有している)を持ち込んだり、原料に使用したりする例が見られます、伝統的な日本の食品以外のものの輸入には「食べものにするための加工」が必要な場合があります、必要充分な加工がされているかの確認も必要です。
また、最近特に事例の多いのが「アフラトキシンの検出」です。熱帯・亜熱帯地域に特有のカビが繁殖する際に産生する毒素であり、最強の発癌性物質として知られていますが、従来の規制値(アフラトキシンB1として検出しないこと)から「
アフラトキシン類(B1,B2,G1,G2)の総量規制(10ppb未満:本年10月1日から)」となりますので注意が必要です。穀類、穀物加工品、ナッツは常識的な事ですが、トルコ産の乾燥イチジクに違反が増加しています。生産者には「充分な乾燥」を、輸送時には「水濡れ防止、結露防止」を、到着(入港)時には「現物点検」を検討しましょう。


③使用原材料に「日本で安全性が確認されていない遺伝子組換え原材料」が混入していない事の確認が不足している例が見られます。
  
トウモロコシ、大豆、ジャガイモについては比較的細かく調査(事前検査)がされている様ですが、諸外国には、小麦、米、トマト等にも遺伝子組換え品種の商業的栽培と流通が見られ、アメリカ産の米からKMD1が、中国産のビーフンからBT63や、Kefeng6が検出された例が報告されています。米国では、昨年9月にパパイヤ(X-17-2)の栽培が解禁されたこと、カナダ産の麻の実に遺伝子組換え(FP967)の混入が発見された事などは記憶に新しいところですし、ピーマン、かぼちゃ等の新規の作物の遺伝子組換え事業の参入が見られますので情報の収集と検査体制の拡充に注意が必要です。
 日本での安全性審査済GMOは以下のサイトで確認できます。原材料ばかりでなく添加物や酵素剤などにも注意してください。
http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/dl/list.pdf


④添加物(原材料にすでに使用されているもの、加工助剤、キャリーオーバーも含めて)が「日本で許可されている物」である事の確認が不足している例が多発しています。

生産国あるいは輸出国では許可されていて、日本では許可されていない添加物や、使用基準が異なる(使用量、使用対象食品、使用方法等)添加物について熟知する必要があります。
日本の食品衛生法にて許可されている添加物のリスト(以下のサイト)を参照し、工場内に日本で許可されていない添加物があった場合には「
徹底的な混入防止対策」を講じてください。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syokuten/


例として、最近見られた違反です、参考にしてください。
TBHQ:油脂の酸化防止剤:100~200ppmの濃度で使用されるので、使用した油脂が少量混入しても検出される。菓子類や、油脂を多く含む食品が違反となり易い。
サイクラミン酸:合成甘味料:高濃度でも乾燥が容易なので甘い乾き物に使用される。台湾や中国産の乾燥梅で違反が多発している。
アゾルビン、スーダン色素:原材料の色調が乾燥等で劣化・退色しやすいパプリカや唐辛子、ドライフルーツに多用される。「不自然に鮮明な色彩・濃度」の食品には注意しましょう。



(C) 2009 Association for the Safety of Imported Food, Japan