2012.3.7
no.26

安全性審査の手続きを経た遺伝子組換え食品及び添加物一覧について

平成24年3月1日、厚生労働省は「食品衛生法に基づく安全性審査を経ていなかった遺伝子組換え微生物を利用した添加物についての対応(第3報)」を報道発表しました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000242aq.html

これは、昨年12月6日「告示第3条に定める安全性審査を経ずに遺伝子組換え微生物を利用して製造された添加物が※1輸入され、国内で販売されていることが判明した」として、輸入の停止、流通の自粛※2が求められた事例(後に、輸入者に対し、使用した食品に関する調査・報告等が求められました)についての結論で、当該添加物については「安全性が確認(食品安全委員会で)されたので、これらの添加物と、これらの添加物を使用して製造された食品の輸入・販売等の自粛を解除した」とのことです。
※1 この時点で問題視された添加物は「5’-イノシン酸二ナトリウムと5’-グアニル酸二ナトリウム」の2品種。
※2 添加物についての輸入停止・販売自粛であり、これらを使用した食品に関しての指示等は、この時点では触れられていなかった。

ところでこの「安全性の確認」についてすこし踏み込んでみますと、厚生労働省は、上記の2添加物は、①食品衛生法上の添加物の成分規格を満たしている。 ②国外では広く利用され、安全上問題となる情報は無い。として、現時点では安全上の問題は確認できないので食品安全委員会に「食品健康影響評価」の諮問をした、となっており、その結果報告が下記URLで発表されています。

http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/dl/list3.pdf

ここでは、「セルフクローニング、ナチュラルオカレンス又は高度精製品は、組換えDNA技術を応用した食品及び添加物に該当しない」とみなしており、上記2添加物は高度精製品であるので「組換えDNA技術を応用した食品及び添加物ではないから“安全性を確認した”」との評価結果でした。
風が吹けば桶屋が・・・的な結論ではありますが、同リストの44品目については、添加物として使用して問題ないと言う結論です。


平成13年の評価結果から、今日に至るもので、懸案の2品目は最終行に掲載されており、貴重なリストですので内容を精査しました所、以下の疑問が湧きましたので、厚生労働省に確認しました。以下に紹介します。
表中の11~13のホスホリパーゼ3品には生産菌株が Streptomycesと記されている。
食品衛生法上の既存添加物名簿収載品目リスト中のホスホリパーゼの基原物質には「動物のすい臓もしくはキャベツ、又は 糸状菌(Aspergillus oryzae、Aspergillus niger)、担子菌(Corticium)、放線菌(Actinomadura、Nocardiopsis)、細菌(Bacillus)の培養液より抽出して・・・とされていて、ここにはStreptomycesの記載がない。
添加物と認められていても、基原物質として認められていない原材料から作られた添加物は違反とされた例があった(ex ひまわりレシチン)ので、当該ホスホリパーゼを使って問題ないのか?

上記疑問を厚生労働省 医薬食品局 食品安全部 新開発食品保健対策室に質問
「上記URLに掲載されたリストは、食品及び添加物として認めた表であるから、食品に使用してさしつかえない。既存添加物リストの基原物質の欄の内容は、あくまで参考とし、掲載されていないものは全て禁止と考えず、疑問が生じた場合は厚労省に照会してほしい」との事でした。



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