2012.12.19
no.30

中国衛生部及び農業部が残留農薬の最新基準を発表

 2012年12月11日、中華人民共和国衛生部は同農業部と共同で「食品中農薬最大残留基準」を公表した(公布は11月16日、施行は2013年3月1日)。
 当該基準は「国家標準」であり、2005年に公布された「旧法規(GB-2763-2005)」に見られた重複や作物の変遷等を加味して大幅な改善を行ったと記載されており、322種の農薬等について2,293の基準を設定している。
 これによりGB-2763-2005及び個別残留基準のGB-25193-2010、GB-26130-2010、GB-28260-2011は削除されることとなる。
 詳細は下記のアドレスを参照のこと。(※169ページある為読み込みに時間がかかります)
http://www.moh.gov.cn/publicfiles///business/cmsresources/mohwsjdj/cmsrsdocument/doc16697.doc


 なお、法規中の前文には「対象外物質の扱いや基準が定められていない物質についての扱い」他が定められていないことから、「定められていない農薬・動物用医薬品・飼料添加物については、残留していても流通の規制はない」スタイルの法規と思われますので、日本の法規制との詳細な比較検討及び生産地への指導が必要です。
※違反の可能性が高いために検査命令対象となっている「豚肉及びその加工品についてのクレンブテロール」、「養殖鰻及びその加工品についてのオキソリニック酸やスルファジミジン、エンロフロキサシン、フラゾリドン」等の動物用医薬品や飼料添加物はほとんど基準がありません。

 今回の新基準の残念な点ですが、たとえば毒死蜱(クロルピリホス)をあげると、ここには菠菜(ホウレンソウ)について0.1ppmと定められており、日本の残留基準である0.01ppm以下と10倍のひらきがあります。
 平成14年6月の「ホウレンソウの残留基準超過による輸入自粛対応の際の中国側のクロルピリホス残留防止対策」には「日本向けホウレンソウにはクロルピリホスの使用を禁止する」との回答がありましたので、基準の斬減があるのではないかと期待していたのですが、残念ながら期待はずれとなってしまいました。
 同様に検査命令の大粒落花生のアセトクロルについて、日本は0.01 ppmですが、中国は0.1 ppmです。

 モニタリング強化されている品目にも同様の齟齬がみられます。
・枝豆へのハロキシホップ:日本は0.01 ppmですが、中国では大豆に対して0.1 ppmを認めています。
・未成熟いんげんのシロマジン:日本は0.01 ppmですが中国では0.5 ppmと定められています。

 たとえ法規が100%遵守されたとしても、残念ながら今回の改正が安心材料とはなり得ない事実を理解し、今まで同様に「産地での使用実態の調査」、「ほ場の確認」、「収穫前の検査」、「輸出前の検査と結果の確認」の徹底が重要です。いま一度「輸入加工食品の自主管理に関する指針(ガイドライン)」の2・原材料の受入段階の〔2〕の農産物及びその加工品を参照してください。
 なお、残留農薬の基準確認には農産物の分類名称の確認が非常に重要です。当該「窓」のNo24を参照いただければ幸いです。





(C) 2009 Association for the Safety of Imported Food, Japan