2013.5.22
no.32

食品に使用される「水」の規格基準が変わります

 平成25年5月8日、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会が開かれ、議題として「清涼飲料水等の規格基準の一部改正」について審議が行われました。当該審議の“おおよその内容”は、現行の「清涼飲料水の規格基準中のミネラルウォーター類の基準」を「殺菌・除菌を有しないもの」と「殺菌・除菌を有するもの」の2つに分け、それぞれの特性に応じた基準を設定する事の検討となっています。
 これにより、従来から問題とされていた過マンガン酸カリ消費量やカドミウムの基準のように、欧米との基準の差異による輸出入の時のトラブル等が回避出来るのではないかと考えますが、クロロ酢酸類やアンチモン等(現在検討中)の基準追加も検討されており、詳細は決定稿の公表待ちというところです。
※あくまで予定とのことですが、本年夏に告示、施行は来年春とのことです。
 さて、基準の個別項目と基準値については公表待ちでも良いのですが、当該審議内容を再読しますと少々気になる所がありますので本省に確認した内容を以下に記します。
ミネラルウォーター類をお取扱いの場合はご注意ください。
       
 現状の清涼飲料水の「製造基準中の原水の基準」は“飲用適の水”とされていたが、今後は “原料として用いる水”という呼び方になり、基準が変わる。どう変わるのか?。
  →従来の26項目が削除され細菌等に関するものに集約される。   
     ただし、殺菌、除菌を有するミネラルウォーターと殺菌、除菌を有しないミネラルウォーター及びその他の清涼飲料水とに分けた成分規格が設定され、個々の基準(項目も基準値も)も見直される。  
     殺菌、除菌を有するミネラルウォーターには新たな項目が追加されるのであらためて検査等が必要となりますので注意が必要です。(およそ40項目となる!)  
     審議会資料では、殺菌、除菌の「有・無」と「要・不要」が混用されているが、新法規上は「殺菌、除菌をした、しない」による区別とするので有・無による文書となるだろうとの事です。  
   ②  現在の「食品の規格基準」の中に「原材料等に使用する水は“飲用適の水”でなければならない」とされている食品があり(※清涼飲料水を除き以下に列記)、この“飲用適の水”の基準は、 清涼飲料水の製造基準に規定する水 とされていた。今後どうするのか。
  →清涼飲料水以外の食品の水の基準は「食品製造用水」と呼び名が変わるが、現行の「水道水であるか又は一般細菌等を含む26項目の基準」を準用するとの事でした。
 
     
   『飲用適の水、と言う文言が示されている食品と法規等の箇所について』  
     食品一般の製造加工調理基準中の魚介類を生食用に調理する場合  
     氷雪の製造基準  
     氷菓の製造基準  
     食鳥卵の製造基準(殺菌液卵)  
     食鳥卵の製造基準(未殺菌液卵)  
   6  食肉製品の製造基準(非加熱食肉製品)  
   食肉製品の製造基準(特定加熱食肉製品)  
     食肉製品の製造基準(加熱食肉製品)  
     鯨肉製品の製造基準  
  10  魚肉ねり製品の製造基準  
  11  ゆでだこの加工基準  
  12  ゆでがにの加工基準  
  13  生食用鮮魚介類の加工基準  
  14  生食用かきの加工基準  
  15  豆腐の製造基準  
  16  冷凍食品(生食用冷凍鮮魚介類に限る)の加工基準  
  17  容器包装詰加圧加熱殺菌食品の製造基準  
  18  添加物製剤の製造基準  
  19  洗浄剤の使用基準  
  20  乳及び乳製品の成分規格等に関する省令中の製造、調理及び保存の方法の基準(アイスクリーム)  
  21  乳及び乳製品の成分規格等に関する省令中の製造、調理及び保存の方法の基準(アイスミルク)  
  22  乳及び乳製品の成分規格等に関する省令中の製造、調理及び保存の方法の基準(ラクトアイス)  
  23  乳及び乳製品の成分規格等に関する省令中の製造、調理及び保存の方法の基準(発酵乳)  
  24  乳及び乳製品の成分規格等に関する省令中の製造、調理及び保存の方法の基準(乳酸菌飲料)  
  25  乳等を主要原料とする食品の成分規格  
     
   つまり上記の25食品等についての水の基準については、現状のままですので心配はありませんが、良い機会ですので関係法規の再チェック(現基準の26項目の再認識)や、製造工場での水質の管理内容等(水質検査頻度、結果の確認、異常の場合の対策等)の再点検をお勧めします。   



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