2014.8.6
no.38

木材こん包材にご注意

 世界的人気バンド「ザ・ビートルズ」のメンバーだった故ジョージハリスンさん追悼のために、ロサンゼルスのグリフィス公園に植えられていたクロマツの木がキクイムシ“バークビートル”の被害に遭って切り倒されることになってしまったとの笑えないニュースがありました。
    日本でもプラムポックスウイルスの感染樹が発見され、青梅周辺で組織的伐採等の防疫処置が行われたのはまだ記憶に新しく、輸入時の動植物とその検疫については、各国とも大変な努力がはらわれています。  
    食品輸入事業者の皆さんは、我が国においても「食品輸入」の際の植物防疫に対するさまざまな規制・規則があることは、もう説明もいらない程熟知していらっしゃることでしょうが、コンテナの中にある“商品以外のもの”にも重要な検疫措置があることをご存知でしょうか。  
   【木枠、ダンネージ、パレットなどの“木材こん包材”の検疫措置について】  
   生木から作られた木材こん包材の国際貿易上の移動に伴って検疫有害動植物が侵入及びまん延するリスクを低減するための国際基準ISPM No.15(国際貿易における木材こん包材の規制に関するガイドライン)が採択されており、もちろん日本もこれを採用しています。  
   承認された方法による消毒が行われ、かつ規定のマークが表示された木材こん包材は検疫の対象となりませんが、それ以外は輸入検疫の対象となります。  
         
    木材こん包材の消毒済み表示(引用:農林水産省HP)    
     http://www.maff.go.jp/pps/j/law/ispm/pdf/no15-2013.pdf     
   
   2013年6月にFVO(EUの食品獣医局)によって行われた査察結果において、輸出国によってはマークのない木材こん包の混入が見られ「国際基準に従ってマーク付けされることを十分に保証できていない」”等の報告がなされている事実をふまえると、“コンテナ積込み時の点検”の際には、商品についての点検に加え、未処理パレット(マークなし)を使用していない事の点検が必要と考えます。  
    http://ec.europa.eu/food/fvo/rep_details_en.cfm?rep_inspection_ref=2013-6813  
   自社工場の倉庫から日本にはいない筈の木材食害昆虫が発生する等の事件がないよう、より一層の注意をはらいましょう。  
   なお、追加の情報ですが、木材の防腐処理に使用されるペンタクロロフェノール(PCP)は、カビ等の微生物により「強烈なカビ臭のある2,4,6-トリクロロアニソール」に分解することが知られています。2,4,6-トリクロロアニソールは、においとしての閾値の非常に低い事が知られており、しばらくパレットの上に置いただけのワインやミネラルウオーター、紙パック牛乳などの異臭(カビ臭)クレームの原因(移臭)とされた事実があります。
 濡れてカビの生えたようなボロパレットをコンテナに入れないように注意しましょう。
 
     



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